事業承継とは

事業承継は、自社株式や事業用資産の引き継ぎ、それに伴う税金対策や資金調達の問題がクローズアップされがちですが、社長の信用、取引先や金融機関とのネットワーク、独自の技術、経営のノウハウなど目に見えにくい会社の強みも確実に引き継いでいかなければなりません。また、引き継ぐだけでなく、その後も会社が安定的に継続し、更なる発展をしていくためには、後継者の育成や会社の磨き上げなども必要です。

更に、事業承継と言えば、かつては子などに引き継ぐ親族内承継が殆どでしたが、近年では従業員承継や第三者への引継ぎも増えており、それらを支援する公的機関や制度なども整備されるなど、可能性や選択肢が増えている反面、自身の会社に最適な事業承継を進めるには、早めに計画的に取り組みをすることが重要です。

お客様に愛され社員に恵まれ、歴史を重ねた会社だからこそ、社長さんには事業承継対策が必要です!

会社の経営を後継者に引き継ぐこと

早い段階で準備をすることで
複雑に絡み合う
問題をクリアしていく

  • 現状把握
  • 課題解決
  • 事業発展

事業承継とは、“現経営者から後継者へ事業のバトンタッチ”を行うことです。事業承継は相続税対策と見られがちですが、相続税対策は事業承継対策の一部に過ぎません。

出典:中小機構「中小企業経営者のための事業承継対策」

知的資産
企業における競争力の源泉である、人材、技術、技能、知的財産(特許・ブランド等)、組織力、経営理念、顧客とのネットワーク等、貸借対照表には現れてこない目に見えにくい経営資源の総称。知的資産を把握し、伝えることで、融資を引き出したり、市場にアピールすることができます。

事業承継を実行するまでの流れ

事業承継に向けたステップ

出典:中小企業庁「事業承継ガイドライン(平成28年12月)」

※「事業承継に向けたステップ」の詳細については「事業承継マニュアル」(下記アドレス参照)などでご確認ください
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2017/170410shoukei.pdf

事業承継方法のメリット・デメリット

後継者選び3つの方法

  1. 親族内承継

    メリット

    • 一般的に社内外の関係者から心情的に受け入れられやすい。
    • 一般的に後継者を早期に決定し、長期の準備機関を確保できる。
    • 他の方法と比べて、所有と経営の分離を回避できる可能性が高い。

    デメリット

    • 親族内に、経営能力と意欲がある者がいるとは限らない。
    • 相続人が複数居る場合、後継者の決定・経営権の集中が困難。

    留意点

    • 学校卒業後に他社に就職し、一定のポジションについている等の場合を含め、家業であっても、早めのアナウンスをして本人の了解を明示的にとりつける取り組みが必要です。
  2. 親族外承継(従業員等)

    メリット

    • 親族内に後継者として適任者がいない場合でも、候補者を確保しやすい。
    • 業務に精通しているため、他の従業員などの理解を得やすい。

    デメリット

    • 親族内承継と比べて、関係者から心情的に受け入れられにくい場合がある。
    • 後継者候補に株式取得等の資金力がない場合が多い。
    • 個人債務保証の引き継ぎ等の問題。

    留意点

    • 従業員は経営リスクをとる覚悟で入社、就業してきておらず、白羽の矢を立てた幹部等従業員が、経営者となる覚悟を得るためには、早めのアナウンスと本人の了解を明示的にとりつける取り組みが必要です。
  3. 親族外承継(第三者)

    メリット

    • 身近に後継者として適任者がいない場合でも、広く候補者を外部に求めることができる。
    • 現オーナー経営者が会社売却の利益を獲得できる。

    デメリット

    • 希望の条件(従業員の雇用、売却価格等)を満たす買い手を見つけるのが困難。

    留意点

    • 会社内に後継者がいない場合、検討することを先延ばしにしてしまいがちですが、早めに近くの事業引継ぎ支援センター等の支援機関に相談しましょう。

出典:中小機構「中小企業経営者のための事業承継対策」